2016/01/25(月)
こんばんは 中村店のK.Sです。
さて今日は寒かったことは寒かったですが、雪はあんまりでしたね。社会人にとっては助かりました。
中村店では事務さんが不在の時など、なるべく当番を設けて、お客様への対応に支障がでないようにしています。
その当番などで、お店におりますと、時々お客様が何かしらのご相談でご来店されます。
そんなお客様からのご相談は、リフォームの話もあれば、新築のご相談もあったります。
そんなときに、たまにある質問で、自分の家と、お隣の距離はどのくらい離す必要があるの?ということを聞かれます。
今日はそんな「境界」に関するお話をしたいと思います。
境界という非常にナーバスな問題ですが、民法234条第1項では、
「建物を築造するには、境界線から50センチ以上の距離を保持しなければならない」と定めています。
この場合の建物とは、土台敷または、建物側壁の固定的突出部分(出窓など)と境界線の最短距離を意味するものとされています。
平たくいうと出窓は外壁の一部とみなされますが、屋根や庇の出は含まないと解釈されています。(東京高裁昭和58年2月7日判決)
これに違反して建築しようとすれば、お隣さんから建築中止を求められることがあります。
ただ、既に建物が完成してしまったり、もうやり直すことができない段階に来ている場合もあるでしょう。
むしろそういうケースの方が多そうですが、その場合、現状の改善を求められても現実的に改善するのは困難ですので、損害賠償のみを請求できるとされています。
ここで、現実社会を振り返ってみます。
私も日々様々な地域のお家にお邪魔しておりますが、主に街中において、境界から50センチ離れていないお家も時々あるように思います。
これはどういうことなのでしょう?みなさん違法ということになるのでしょうか?
実は民法234条第1項とは違うことが書かれた条項があります。
民法236条 「前2条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」
地域の慣習・・・繁華街ですとか、建物が接境していることが多い地域ですとか、接境して建物が建築された経緯などを考慮して
当事者が決めるということになります。 ただ基本は原則50センチです。
ただ、こういった相隣問題で最も大事なことは、お隣さんと良好な関係を築く、維持することにあります。
隣地の方は、ほとんどの方は、民法など知りません。そんなことを考えず民法や慣習だけを持ち出して一方的な解釈で物事を進めることはトラブルの素となります。
また、境界から50センチ離すという距離が、壁際から図ってなのか、壁芯からなのかということも民法では決められていません。
建築をする人でも両方の意見があるようです。
まずは新築にしろ、リフォームにしろ、近隣挨拶の際に、隣地へしっかり説明してご納得頂くことが大切ではないでしょうか?
それでは、また。
※建築基準法65条には「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」
という規定があります。同条は、民法234条1項の特則であるということが、平成元年9月19日の最高裁判決で示されています。