2012/08/27(月)
こんにちは。中村店ナガタです
「読書の秋」にはまだ早いですが、
最近また、読書が楽しくて仕方ないナガタです
ということで、久々の読書記録(賛否両論ありますが。。)
※ネタバレご容赦ください。読みたい本だったら飛ばして下さいね
1冊目。『贖罪』湊かなえ
とある田舎町を舞台として、元々の田舎の人間と
そこにできた「足立製作所」の社宅へ越してきたとても都会的、近代的な人々との
どこか異質な関わり合いの中である事件が起こり
直接的な犯人ではないものの、
罪を背負う事を強要された4人の女性、それぞれの「贖罪」…。
***
この方、作品出すペースがとても早いですね。嬉しいです。
『贖罪』も、今までの湊さんの作品の例に漏れず
これまた初っ端から読み心地最悪でした(笑)
その暗ーーーい気持ちを引きずりつつ、どうにかコトが好転することを願い
半ば必死になって読み進めるのに
まあ繰り返される繰り返される負の連鎖。
ヒトの心の内側にある、弱みとか甘えとか嫉妬とか建前とか…。
とにかくそういった、「負」の部分をえぐり出すことで
事件から何年も経っているのに事件に縛られ続けてしまう4人の「その後」が
かなり狂気じみた展開で描かれています。
「早く続きが読みたいで賞」を小説家さんに与えるとしたら、
私は迷うことなく湊かなえさんを推薦します(笑)
ところでこの『贖罪』、ドラマ化されてたんですね。
小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴…。
ちょっと、見てみたいです。
2冊目。『かあちゃん』重松清
何もかもを一身に背負い 自分に厳しくあり続けた母、子供とどう接したらいいのか
分からない母、認知症の母親の面倒を見続ける母、エリート教師の母、
子育てに悩む母、自分の子供と離れなくてはいけなくなった母…。
母子の関係は千差万別。
それでも、子を想い、守り、あらゆることを願う気持ちは同じ。
強く深い、母親の愛情が様々な視点から描かれます。
***
ベースとなる物語はひとつなのですが、
そこに登場する、別々の「母子」のストーリーが章ごとに描かれています。
ひとつ感心したのが、ストーリーのメインではない登場人物って、
そのストーリーの中ではすごく非情だったり冷酷だったり無関心だったり
憎たらしかったりするのに、
その登場人物をメインとしたストーリーになると、途端に感情移入ができたこと。
当たり前の事なのですが 各々の人生のストーリーの主人公は必ず「自分」なわけで
その「自分」を中心としたストーリーと、「自分」がその他大勢の登場人物として描かれる
ストーリーとでは、全然見え方が変わってきますよね。
脇役としてでは見えてこなかった人間臭さが、
主役としてだと色濃く出てくるというか。そんな感じでした。
そして、題名にもなっている「かあちゃん」。
それぞれの「かあちゃん」の、深くて大きい愛情が様々な形で登場して、
何回涙腺ゆるんだか分かりません(笑)トシでしょうか…。
描かれる人間関係はけっこうシビアだったりするのですが、
何となくほっこりできた物語でした
3冊目。『アシンメトリー』飛鳥井千砂
Amazonさんの解説そのままなのですが、
『結婚したい女。自由を選びたい女。
結婚という形を選んだ男。好きな人と結婚したい男。
非対称な男女4人の結婚と恋愛を描いた、長編恋愛小説。』
まったく、この通りです
***
「当たり前」って何だろう?
「普通」って何だろう?
そういうことを、強く考えさせられる物語でした。
「色んな価値観があっていい」とか
「それぞれの個性が認められるべきだ」とか言いながら、
私たちの中にはそれぞれ確固とした「基準」があって
それに当てはまらないものに関しては無意識的に拒絶したり排除したり
してしまうのではないでしょうか。。
この物語も、先ほどの「かあちゃん」と同じように章ごとに語り手が変わります。
同じ会話でも、どちらの側から考えるかで全然ことばの重さが変わってくることに
純粋に驚かされたり、「自分はどうなんだろう」とヒヤッとさせられたりしました。
表面的には軽い恋愛小説といった感じなのですが、
ふとした場面で人の「強さ」や「弱さ」、「狂気」といった、
むき出しの感情が叩きつけられるので
何だか目が離せず、短期間で読み終わってしまいました。
以上、3冊。
「極力、ネタバレにならないように…」と注意して書いたら
何だかすごく抽象的な感じになってしまいました。ゴメンナサイ…
でも今回の3冊は、どれもナガタとしては「アタリ」でしたので
機会があれば読んでみて下さい
そして今は、私が江國香織さんと並んで「神様」と崇める山本文緒さんの
復帰作とも言える『アカペラ』を読んでいます。
山本さんらしくて、サイコーです